世界遺産にも指定されている醍醐寺は、国宝約7万点、重要文化財約6500点、未指定のものも含めると15万点もの寺宝を所有する、文化財の宝庫です。
現在も、新しく指定される文化財がまだまだ増えているんですね。

そんな貴重な宝物の一部が見られるのが、境内にある霊宝館。

醍醐寺 霊宝館

毎年春と秋に、テーマに沿った宝物が展示されます。

2016年の春季に行われている特別展は、「木造虚空蔵菩薩立像 国宝指定記念 春期特別展」

実は2015年に新しく国宝指定された木造虚空蔵菩薩立像が展示されています!
他にも国宝の薬師三尊像、重要文化財の五大明王像など見ごたえのある仏像も。

仏教関連以外には、毎年春恒例の秀吉が開催した「醍醐の花見」関連の展示も行われています。

いずれも見ごたえがありますね^^

重文から国宝になった「虚空蔵菩薩」

仏像って、みんな似ていますよね^^;
如来、菩薩、明王などは区別ついても、それが阿弥陀如来なのか薬師如来なのか、観音菩薩なのか勢至菩薩なのか、一目見ただけではわかりにくいことってよくあります。
大抵の場合は、持つものが決まっていたり、手の形(印相)などで判断するのですが、それでもわからない場合があるんですね。

「いつ、誰が作った、○○像である」

と、メモが残っている場合はありがたいのですが、それがない場合は、

「おそらく○○菩薩だろう」

という感じで名前が付けられているものもあります。
今回の虚空蔵菩薩も、そんな感じで「聖観音菩薩」と伝えられていました。

昔買った小学館のウィークリーブック「醍醐寺 古寺を巡る」にも、聖観音と書かれていました。

醍醐寺 国宝・虚空蔵菩薩

しかし昨年、醍醐寺に伝来している江戸時代の版木に、「虚空蔵菩薩」としてよく似た姿が刻まれているものが見つかったのだそうです。
それによると、江戸時代には醍醐寺の塔頭「菩提寺」で「虚空蔵菩薩」として信仰されていたのだとか。

この像は、像高51.1cmの小像で、醍醐寺の仏像の中では最も古い立像(9世紀)なのだそうです。
天衣の量感が感じられて表現が巧みです。
優れた技量で作られた仏像ですね^^

今回の展示では、その証拠となった版木と合わせて展示されています。

上醍醐 五大堂の五大明王

醍醐寺 五大明王

醍醐寺といえば、五大明王。
左から、大威徳(だいいとく)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、不動明王、降三世(ごうざんぜ)明王、金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王です。

他にも見ごたえある仏像はたくさんありますが、五大明王のインパクトは格別です^^
五大明王が揃っているところは、東寺や大覚寺などはありますが、あまりないですよね。

以前、奈良国立博物館で行われていた「醍醐寺のすべて」という展覧会で、ずらっと5人が一堂に並ぶお姿に圧倒されたのですが、なんと霊宝館に普通にいらっしゃいました(≧▽≦)
(以前の記事⇒奈良国立博物館 「国宝 醍醐寺のすべて-密教のほとけと聖教-」に行きました。

170~180cmの大きさの五大明王が間近で見れます!

改めて拝観して思いましたが、私は軍荼利明王のシャープさが好きですね^^
でも5体全て揃うと、その迫力は一塩です。

醍醐の花見に思いを馳せる展示品の数々

醍醐寺ならではの展示品といえば、「醍醐の花見」関連。
秀吉が行った伝説の花見ですね。

1回しか行っていない花見なのですが、後世に伝わるほど盛大な花見だったんです。

どれほど豪華だったのか、その様子が書かれているのが醍醐寺の座主・義演が書いた「義演准后日記」。

日記なので数行ほどなのですが、女中たちを連れて、終日桜をご覧になった、という旨が書かれています。
この花見のために茶屋を建てたり、言葉では言い尽くしがたいほど贅を尽くしていたのだとか。

そして、秀吉愛用とされているのが「金天目・金天目台」。
秀吉の病の治癒を願って加持祈祷した際に、義演が御礼として頂いたそうですが、これはもしかすると醍醐の花見で秀吉が使っていたかもしれませんね。

そんな工芸品も今回見ることができます。


展覧会の展示は平成28年5月8日(日)までですが、霊宝館は、桜の期間中は館外の外周をぐるっと一周することができます。

醍醐寺 霊宝館 通り抜け

こんな桜も見れちゃいますよ!

醍醐寺 霊宝館 桜

2016年の通り抜け期間は3月28日(月)~4月5日(火)となっています。
桜の時期に合わせて訪れるとお得ですね^^

ちなみに、外周通り抜けができる時間は、9:00~15:30となっていて、終了時間がお寺の拝観終了時間よりも早くなっています。
外周通り抜けも予定されている方は、気をつけてください。