保延寺 阿弥陀堂

滋賀県長浜市高月町の「保延寺」という集落に、阿弥陀堂があります。
ここには三体の阿弥陀像が安置されています。

「保延寺阿弥陀堂」と呼ばれていますが、ここに「保延寺」というお寺があるわけではなく、地名なのだそうです。
渡岸寺と同じタイプの名前の付け方。紛らわしいですね^^;

場所は、国道365号線から東、高野大師堂(高野神社)に向かう途中、少し北に入った白山神社の境内にあります。
ということは、白山神社と阿弥陀堂には、鎮守と神宮寺の関係があったのでしょう。

阿弥陀堂のある通りからもう少し北に上がった通りに、尾山釈迦堂というお堂がありますが、そちらも別の白山神社の境内にありました。
白山神社は京都や滋賀などではあまり見かけませんが、白山により近い湖北地方に来るとよく見かけるので、白山信仰がよく根付いていたんでしょうね。

ここから少し東に行くと己高山(こだかみやま)という、山岳仏教が栄えた山があります。
古くは奈良時代の行基、白山を開山した修験道の僧、泰澄(たいちょう)がここで修行をしており、時代が下って廃れた己高山を、比叡山に天台宗の拠点を築いた最澄(さいちょう)が再興しています。
最盛期にはたくさんの堂宇が立ち並んだそうです。

一方、保延寺という地には、「花寺(はなでら)」という大きなお寺があったそうで、実際、白鳳時代の寺院瓦や古銭が大量に見つかっています。

そして、地元に伝わる「己高山縁起」によると、最澄が己高山を再興する際、自ら彫った仏像の1つが「保延寺 阿弥陀」と記されています。
ということは、この阿弥陀堂も山岳仏教と関係しているということですね。

こちらが三体の阿弥陀が安置されている阿弥陀堂。

保延寺 阿弥陀堂

そして三体阿弥陀。

保延寺 三体阿弥陀

三体ですが、本尊と脇侍の三尊形式ではありません。
どちらも本尊です。
真ん中の阿弥陀さんはお顔が黒ずんでいますが、優しそうで温かみを感じました♪

定印を結んだ真ん中と向かって右の阿弥陀さんは室町時代作、左の阿弥陀さんは江戸時代作というのですから、最澄のいた平安時代とは一致しませんね^^;
最澄のものはどこに行ったのか、わかりませんが、一体だけ江戸時代作になっているのも気になります。
詳しい資料は見つかりませんが、もしかしたら焼失して入れ換わったのかもしれません。

御朱印

保延寺阿弥陀堂の御朱印です。

保延寺阿弥陀堂 御朱印

御朱印はスタンプでした。


保延寺阿弥陀堂は小さなお堂なので、長くても15分くらいあれば拝観できます。
ただし、無住のお寺なので拝観には事前予約が必要です。

また、同じ保延寺のちょっと歩いたところに観音堂もあります。
小さくて可愛いらしい十一面観音さんがいらっしゃいますよ^^

予約の時に世話方にお願いすれば一緒に見せてもらえると思います。