「祇園祭」といえば、シンボルとなっているのは山鉾ですね^^
宵山では提灯に明かりがついて幻想的に、そしてコンチキチンの祇園囃子を聞きながら情緒を楽しめますし、祭のクライマックスである山鉾巡行では、それぞれの山鉾が懸装品を完全装備、神様を乗せて巡行します。
まさに動く美術館!ですね。
そんな山鉾ですが、7/13~7/16くらいにかけて、一般人でも登れる山鉾があります。
今年は菊水鉾と放下鉾に登ってみました。
山鉾に登るには?
山鉾は前祭と後祭合わせて三十三基ありますが、登れる山鉾は前祭八基、後祭二基です。
三十三基の山鉾の場所は、現地で配っているうちわに地図が必ず描かれていますので、それを見ていくと良いですね^^。
登るための条件は山や鉾によって違います。
山鉾の売店でオリジナルグッズを買えば拝観券がもらえるところもありますし、拝観券を買うところもあります。
そもそも長刀鉾と放下鉾は伝統のため女人禁制となっていて、女性は鉾に登ることができないようです。
登れる山鉾と、登るための条件は下のようになっています。
前祭で登れる山鉾と登る方法
- 長刀鉾:粽(1,000円)を購入(売り切れの場合はオリジナルグッズを購入)。ただし鉾は女人禁制で、女性は2階まで。
- 函谷鉾:拝観券(1,000円)を購入。
- 鶏鉾:拝観券付のオリジナルグッズ、又は拝観券(500円)を購入。
- 月鉾:オリジナルグッズを購入。
- 菊水鉾:拝観券付の粽(1,000円)を購入。
- 放下鉾:拝観自由(お賽銭程度)。ただし鉾は女人禁制で、女性は2階まで。
- 船鉾:拝観券(300円)を購入。
- 岩戸山:拝観券付の粽(700円)、又は拝観券(300円)を購入。
オリジナルグッズは、厄除けちまきや手ぬぐい、お守りなどです。
大体1,000円ほどで購入できます。
後祭で登れる山鉾と登る方法
- 大船鉾:拝観券(500円)を購入。
- 南観音山:拝観券(300円)を購入。
※2016年時点のデータですので、今後変わることも考えられます。現地でご確認ください。
長寿と商売繁盛の鉾、菊水鉾
「菊水鉾」の名前は、菊水鉾町内にあった名水「菊水の井」に由来します。
中国の故事によって作られた能楽に「枕慈童」というものがあるのですが、それによると、菊の露を飲んで700年の長寿を得たといいます。
この井戸の水は、あの千利休の師匠であった武野紹鴎が愛用していて、そこに枕慈童を祀ったのが菊水鉾の始まりなのだそうです。
それ以前はえびす神を祀っていたそうで、そういうことから菊水鉾は長寿と商売繁盛の鉾となっています。
そんな菊水鉾ですが、実は幕末の1864年、禁門の変で消失してしまいます。
その後は巡行のくじだけは取っていたのですが、なんとか焼け残った前掛け類は山伏山に寄付、その後は休み鉾となります。
そして昭和28年(1953年)に再建されましたので、「昭和の鉾」とも呼ばれています。
2013年から再建60周年を記念して4年がかりで前掛、胴掛、後掛などの懸装品が新調されています。
これらにはそれぞれ七福神が描かれているのですが、2016年は全てが新調され、七福神が揃う記念の年なんです!
まずは2013年に新調された前掛は、大黒天とえびす神が描かれています。
そして2014年に新調された左の胴掛には、福禄寿と寿老人。
2015年は右の胴掛には、毘沙門天と弁天。
そして最後の2016年、新調された後掛は布袋さんの綴織となっています。
江戸時代の絵師、狩野岑信の「七福神図巻」を基に作られたのですが、この七福神をそろえるのに、八千万円もかかったのだそうです!
豪華ですね^^
鉾を下から見上げると迫力満点。
屋根が唐破風造りになっているのは、全山鉾の中でも菊水鉾だけなのだそうです。
懸魚の鳳凰も見事ですね!
菊水鉾に上がるには、粽(1,000円)を購入します。
買うと拝観券が貰えるんです。
粽のほかに、菊水天王のお札も入っています。
祇園祭で授与される「
持ち帰って家の玄関に吊るしておく、厄除けの授与品なんです。
八坂神社の神職さんのお祓いを受けているんですよ^^
京都に来ると、お店の玄関などに粽が吊るされていると思いますので、ご存知なかった方は見てみてください。
この粽を購入して、いざ、菊水鉾に搭乗!
行列に並んで2階へ上がります。
2階に上がると、ちょうどコンチキチンの祇園囃子が始まりました!
行列になっていたので止まる余裕がほとんどなく、通り抜けるだけだったのですが、真横で聞くお囃子はかなりの大音量でした。
中は結構狭いですが、そういう場所から町全体をお祭りムードに変えているんですね。
楽器は太鼓、笛、鉦と3種類。
すごい密集した空間で演奏しているので、特に鉦の高い音色がものすごく耳に響きます。
囃子方は各鉾の町衆が務めているのですが、どれも一人前になるには時間がかかるそうで、町衆は小学生の頃から囃子方になるのだそうです。
そして、まずは鉦からマスターするのだそうですが、それだけでも10年はかかるそうなんですよね。
笛も、音が出るようになるまで一か月くらいはかかるそうです。
大変な練習が必要なんですね。
お囃子の曲も全部同じように聞こえますが、実はレパートリーがたくさんあって、1分~1分半くらいの曲が30~40曲くらいはあるそうで、太鼓方が演奏する曲を決めて、途切れなくしています。
さらに山鉾によってアレンジが加わるので、曲の雰囲気やテンポも違うのだそうです。
山鉾共通のものもありますが、奉納の時はゆっくりとした奉納囃子、辻回しの時の辻囃子など、よく聞くといろいろあるんですよ^^
曲の覚え方は山鉾によって違います。
譜面が残っている曲もあるのですが、子供の頃から参加するのですからやっぱり耳コピーです。
先輩が演奏するのを聞き、目で見て覚えていくわけですね。
各山鉾は長い歴史の中で途絶えてしまった山鉾や、一時的に途絶えたものの復活した山鉾もあります。
長い期間をあけて復活した時は曲が伝達されていなかったりするので、他の山鉾から習ったりするんです。
そうすると、その曲は習った先の山鉾に似ていたりするわけですから、山鉾同士の繋がりも見えてくる気がします。
曲の違いを追及するのもなかなか奥深いと思います^^
山鉾町に来るとずっと祇園囃子が聞こえると思うのですが、その時は曲の違いを堪能してみるのもまた祇園祭の楽しみの一つかもしれませんね。
祇園囃子についてはこちらにも詳しく書かれていて、一部参考にさせていただきました。
→コンチキチン♪ 祇園囃子で楽しむ祇園祭 | 祇園祭2018 GION-MATSURI by京都で遊ぼう