観心寺

大阪府河内長野市にある観心寺。

大阪市内からちょっと遠いところですが、梅の花がきれいに咲く関西花の寺二十五霊場の1つとして知られています。

また、歴史的に重要な場所で、京都から高野山へ向かう途中にある中宿として、楠木正成の菩提寺として、真言宗の道場として、色々な側面のあるお寺です。

更には、日本の密教で最も魅力的な傑作といわれているご本尊、如意輪観音像(国宝)や、折衷様建築の代表作とされる金堂(国宝)など、文化財としてもチェックしておきたいところです。

如意輪観音像は、残念ながら普段は秘仏なので、いつでも拝観できるわけではありません。
でも、年に一度の4月17・18日のみに御開帳されるんです!

毎年この日だけなので、きちんとスケジューリングしないと出会えない仏像ですが、今年は4月17日のご開帳にあわせて参拝しに行くことができました♪

年に一度のみ公開される秘仏 如意輪観音像

観心寺 秘仏公開

観心寺の名前を有名にしているのがご本尊、如意輪観音坐像。
平安初期の弘法大師作のもので、仏像好きなら一度は見ておきたいほど妖艶な魅力があります^^
こんな本も出ています。

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法輪を回して全ての煩悩を打ち砕くという力を持ち、苦しみを取り除いて福を与え、智慧を授ける観音・如意輪観音。大阪・観心寺の如意輪観音の美しさ、技法と工程、鑑賞ポイントなどをカラー写真を交え解説。

更には、ネット上でですがこんなフィギュアも販売されています。

如意輪観音

詳しくはこちら⇒如意輪観音の特徴

観心寺の如意輪観音は、普段は秘仏なので拝むことができません。
それが、4月の観音様のご縁日とその前日にあたる、17日、18日の2日間だけ公開されます。

上のフィギュアが割とよく作られているので、これを見ればでお姿はわかりますが、金堂で拝見した本物の如意輪観音は、少し薄暗いお堂内でろうそくが灯されていてそれが一層妖艶さを増して見えるんです。

金堂内は撮影禁止なので本物の写真を紹介することはできません。
ぜひ本物を拝観することをお勧めしたい仏像でした。

公開中は30分の法話が何度も行われます。
行く時は時間に余裕を持って行くと良いと思います。

大随求菩薩画像も特別展示されます

毎年展示されるとは限りませんが、今年(2014年)は、金堂内で「大随求(だいずいぐ)菩薩画像」(重文)も特別展示されていました。

昨年に引き続きでの公開で、鎌倉時代に描かれた現存する唯一の菩薩画像なのだそうです。

残念ながらこちらも撮影禁止なので実物を紹介出来ないのですが、注目したいのは、大随求菩薩のご功徳。
滅罪の功徳があるとされていて、どんなに悪いことをしても大随求菩薩の前でそのご真言、「随求陀羅尼」を唱え懺悔すれば、極楽浄土の世界へと導いてくれるのだそうです。

そしてそのご真言がこちら。

「オンバラバラ サンバラサンバラ インジリヤ ビシュダニ ウンウン ロロシャレイソワカ」

舌を噛みそうなご真言ですが、頑張って唱えておきました^^

このご真言は平安時代に重要視されたそうですが、大随求菩薩の造像例は意外と少なく、比較的知られているのは清水寺の随求堂の本尊(江戸時代作)だけなのだそうです。

鎌倉時代の絵図としては観心寺のものが唯一のものになっています。

いつ展示されるかはわかりませんが、イベントの時は公開される可能性がありますので、こちらも拝観できるチャンスがあれば拝観しておきたい仏画です^^

折衷様建築の代表作「金堂」

観心寺 金堂

観心寺 金堂

観心寺の金堂は南北朝時代の建立で、折衷様建築の代表作といわれています。

寺院建築には、鎌倉以前から寺院建築として用いられた、地震に強い「和様」、鎌倉時代初期にに東大寺再建にあたって採用された、大形建築に対応できる「大仏様」、同じく鎌倉時代初期に禅宗と共に日本に伝わった「禅宗様」があります。

「折衷様」はその良いとこ取りをした建築様式のことをいいます。

観心寺の金堂は、土壁を使っていたり、正面の窓に連子窓があったり、周囲には切目縁があったりして全体として和様なのですが、大仏様・禅宗様で採用されている「(ぬき)」の技法で固められていますし、禅宗様の扉である桟唐戸(さんからど)中備(なかぞなえ)には大仏様二斗が使われています。

とまあ、建築用語を使うと難しくなるのですが、かつては折衷様のことを「観心寺様」ともよばれたくらい、折衷様を代表する建物となっているんです。

厄除け・福寿増長のパワースポット、日本で唯一の北斗七星の巡礼地

観心寺 星塚巡礼

観心寺は、日本で唯一の北斗七星を巡礼する霊場でもあります。
境内には7つの星塚があるんです。

厄除け開運を願う霊場で、1つ1つはこのように祀られています。

観心寺 星塚

中には星塚となっている石があり、梵字らしきものと、星の名前の頭文字が漢字でが刻まれていました。

観心寺 星塚

この星塚は、如意輪観音のいる金堂を中心に取り囲むように配置されています。

観心寺 星塚 案内板

巡礼の仕方は、

  1. 金堂を参拝
  2. 金堂前の石段左側から時計周りに星塚を回って一つ一つ合掌・礼拝
  3. 最後に金堂前の石段右側にいる鎮守神、訶梨帝母天(かりていもてん)を参拝してして締めくくる。
  4. という巡り方をします。
    下は最後に参拝する訶梨帝母天堂。

    観心寺 訶梨帝母天堂

    全部で10分もあれば回れると思います。

    この星塚巡礼はいつでもできますが、節分の日に行われる節分星祭の日には特に参拝客が多いそうで、とりわけ厄年の人が多いそうです。
    生まれた年の星(本命星)とその年の星(当年星)をお札に記入して祈祷してもらうのだとか。

    というのが観心寺の星塚なのですが、そもそもなぜこんな星塚があるのでしょう?

    お寺の説明によると、空海がこのお寺に訪れた時、人の力ではどうにもならない災難から衆生を救うため、境内に北斗七星を勧請したのだそうです。
    そしてその中心となる如意輪観音像を彫ったのだとか。

    空海が伝えた密教は宇宙との関係が密接で「密教占星術」というものもあるのですが、密教の星祭では北斗七星に厄災消除・福寿増長を願うのだそうです。

    つまり、大宇宙の大いなる力を地に移したのがこの星塚、というわけですね^^

    星塚は金堂の如意輪観音を囲むように配置されているわけですが、その如意輪観音はここでは、転輪聖王(てんりんじょうおう)(古代インドの思想における理想的な王を指す概念)に例えられています。

    お釈迦さまはインドの中の小さな国の王家に誕生したのですが、誕生した時、

    「在家を継げば世界を支配する王に、出家すれば世界を救う教えを説く聖者になる」

    といわれました。
    実際には出家したので、その聖者の姿を重ねたのが如意輪観音の姿でもあります。

    如意輪観音の座り方を見ればわかるのですが、右ひざを立てて座る、力強さを象徴する座り方をしています。

    如意輪観音

    まさに王者の風格ですね^^

    観心寺の御朱印

    観心寺は、

    • 新西国三十三箇所客番
    • 仏塔古寺十八尊 第13番
    • 関西花の寺二十五霊場25番
    • 役行者霊蹟札所
    • 神仏霊場巡拝の道 第56番

    の札所になっています。

    私は、新西国三十三箇所客番の御朱印のみ頂いています。

    観心寺 御朱印


    私が訪れた時はご本尊のご開帳日だったのですが、その時は境内の階段でいくつかお店が出ていました。
    その中で、千慕里庵というお店が「梅どら」というどら焼きを出していて、その試食が美味しかったので購入。
    同じお店で栗みかさも購入しました。

    観心寺 梅どら

    どちらもしっとりでもちもちとした食感、甘さ控えめ。
    どちらも美味しいのですが、個人的には梅どらが好みでした^^