浄瑠璃寺 当尾の石仏巡り

先日、浄瑠璃寺に行ったのですが、ここに来たらせっかくなので、石仏巡りをしておきたいところです^^

この辺りを当尾(とうの)地区といって、平安時代の頃に、世俗化した奈良仏教を嫌った僧侶が移ってきた土地なんです。

それが鎌倉時代になって花崗岩(かこうがん)の彫刻技術が確立、それから多くの石仏がこのあたりでたくさん掘られています。
この石仏群を、当尾石仏群と呼ばれています。

当尾地区に点在している石仏巡りをしようとすると、道とは言えない山道も歩くので、1日では回りきれないくらいあります。
一番有名なのは、浄瑠璃寺から岩船寺までの約1.7kmの山道が石仏散策コースですね^^

今回、その道を山道の方から行こうとしたのですが、私が行った時は大雨の後で、道が崩れて通行止めになっている場所がありました。
それでも迂回して行こうとしたら道に迷ってしまったので、仕方なく浄瑠璃寺周辺の石仏に会いに行ってきました^^

浄瑠璃寺 境内の石仏

浄瑠璃寺の境内にも、当尾石仏群に入れられている石仏があります。
中には言われないと分からないものもあるので紹介します。
まずは浄瑠璃寺門前、お店が並んでいるところから浄瑠璃寺に向かう参道に入ったところに、丁石が建っています。

丁石

思いっきり参道横に立っているので、知らなかったら見逃してしまいかねません^^;
しかも

「"石仏群"と言っているのに、全く石仏の形をしていないじゃないか!」

そんな声が聞こえてきそうですね^^;
でもこれはちゃんと仏を表しているんです。

この丁石は南北朝時代の角塔婆ですが、上の方には梵字が書かれていて、「ア」の字を表します。
密教に阿字観(あじかん)という瞑想法がありますが、それは言葉の最初に出てくるこの「ア」という字に宇宙を見出す修行法で、この梵字に胎蔵大日如来を見出します。

つまり、この字は胎蔵大日如来を意味しているわけですね。

ちなみに、浄瑠璃寺境内の中央にある宝池もこの、「ア」の字をかたどっているそうですよ^^

当尾地区には丁石が全部で4本建っていて、上の写真はその一つ。
他のものは使われている梵字が違っていて、金剛界大日や降三世明王など、真言密教の仏様を表しているようです。

浄瑠璃寺赤門跡 水呑み地蔵

浄瑠璃寺の南側には、「奈良大門」と言われていた浄瑠璃寺の南大門がありました。
そこには地蔵堂があって、人々の休み場となっていました。
そして美味しい湧き水も出ていたので、水呑み地蔵と呼ばれていたんです。

水呑み地蔵の場所は、浄瑠璃寺スタートで赤字で書いた先にあります。

浄瑠璃寺 水呑み地蔵までの道

まずは浄瑠璃寺から外に出て真っすぐ、近くの「あ志び乃店」という店から右に曲がります。
途中まで道はありますが、だんだんと舗装がなくなり、山道になっていきます。

そして、案内板が途中であるのですが、時には道が分かれているのに無い場合も^^;

下の道はやや大きそうな道が分かれていますが、なんとなく二手に分かれているように見えるので、地図を見た感覚で、左側の道を選びます。

浄瑠璃寺 水呑み地蔵

進むほどどんどん足の置き場所を選びながら進む山道になり、「本当にいるのかなあ?」という気持ちになりますが、なんとか到着!
看板がありました!

水呑み地蔵の看板

もはや自然の草むらの中で、道はありませんね^^;

右側を向いている石が水呑み地蔵のようです。
足元には湧き水が流れていたり、相変わらず足場が悪いので、足元に気をつけながら正面に回ってみると、確かにそうでした。

浄瑠璃寺 水呑み地蔵

実は、この写真を撮っている場所より後ろにはいけません。
この場所が限界で、後ろには自然が生い茂りすぎて、これ以上下がったらどこか落ちてしまうのではないか?という足場でした^^;
でも、それが水呑み地蔵がいつも見ている景色ですね。

水呑み地蔵 景色

昔はここに道や階段があったのかもしれませんね^^;

浄瑠璃寺 奥の院 不動明王

浄瑠璃寺の方に戻って、今度は浄瑠璃寺の「奥の院」があった場所に行きました。
今ではお堂はありませんが、不動明王が祀られていて、今でも神聖な行場になっているそうです。

場所はこの辺。

浄瑠璃寺 奥の院への道

浄瑠璃寺から車道に出て左の方、坂道を下っていきます。
5分くらい歩いて再び山道に入るのですが、車道から山道に入る時の目印はこの石仏。

当尾 長尾阿弥陀磨崖仏

長尾阿弥陀磨崖仏というそうです。

鎌倉後期作で、浄瑠璃寺の8体の阿弥陀さんと同じように両手を腹部の前で組む「定印」になっています。
長尾阿弥陀はちょうどカーブのところにあるので、反対車線からは見えないでしょうね^^
このカーブを過ぎた所に、奥の院への入口があります。

当尾 奥の院

ここから先は、最初は緩やかな道ですが、途中で急な下り坂が続きます。
しかも道が細い!

当尾 奥の院への道

写真ではわかりにくいですが、人とすれ違うとちょっと大変な所も多いです^^;
途中で滝になっているところの上に出てきました。

当尾 奥の院 滝

上から下までは3~4メートルくらい。
さらに進むと途中、人一人渡れる橋があります。

当尾 奥の院 橋

ここまで急な下り坂を下りっぱなしで、脚がプルプル><
ちょっとした橋ですが、プルプル足の私は落ちそうで怖いです^^;
この橋を渡ると、やっと不動明王立像にたどり着きました!

当尾 奥の院 不動明王

ここの上の方に元々、岩に線掘りした不動明王の磨崖仏があったそうですが、今ではその岩が割れているので、近世になって、ここに不動明王とそれに仕える脇侍の矜羯羅童子こんがらどうじ(左)と制多迦童子せいたかどうじ(右)の三尊像を置いたそうです。

奥の院の入口からここまで約20分。
帰りは登り道^^;
結構大変でした><

往復で40分ですが、行き帰り誰一人すれ違うことはありませんでした。

細くて勾配のある道は、ちょっとよろけたら下に落ちてしまいそうで、もし落ちてしまったら誰も助けに来てくれないだろうなあ、なんて思いながらの山道でしたが、無事帰路につくことができました^^
結構大変ですが、お不動さんの周りは澄んだ水が流れていて、山の奥なので新鮮な空気、そしてなんといってもやっと会えたという感じが気持ち良いですよ^^

でもこの2か所は、まだまだ狭い範囲で行ったに過ぎません><石仏はもっと広くたくさんあるんです。
何回かにわけないと行けないですね^^

水呑み地蔵も奥の院も、行く場合は山を歩ける服装をお勧めします。
そして、水呑み地蔵、奥の院に限らず、当尾の石仏巡りをする時は、ガイドブックと、浄瑠璃寺の本堂受付で販売されている「当尾の石仏マップ」(100円)はあった方が良いです。
googleマップを見ても、何も描かれていませんからね^^;

私は下のガイドブックをあらかじめ用意して、地図は受付で当日購入しました。
両方あって助かりました^^

[PR]
[PR]