奈良国立博物館 快慶

鎌倉時代に活躍した仏師「運慶」と「快慶」は日本で歴史上有名な仏師です。
この二人の作った仏像が祀られていると聞けば、拝まずに帰れないほどの秀逸作品ばかり。

そのうち、「快慶」に関する特別展が奈良国立博物館で開催されています。

リーフレットはこちら。

快慶展 リーフレット

高野山・金剛峯寺の広目天ですね^^
建久七年(1196)に作られた東大寺大仏殿の四天王像(現在は消失)のひな型であるという説のある仏像です。

そのほかにも、金剛峯寺の孔雀明王像、醍醐寺の弥勒菩薩坐像、東大寺の僧形八幡神坐像、石山寺の大日如来坐像などなど、今までそれを目当てにお寺に訪れていたんだ、という作品が一堂に集結していました。

購入したポストカードをもとに一部紹介します。

こちらは以前、「高野山の名宝展」や高野山霊宝館でお会いした孔雀明王像。

快慶 孔雀明王像

これで3度目の出会いなのですが、やはり何度見ても美しいです。
孔雀の翼の曲線美や光背に使われている羽根に目を奪われがちですが、孔雀に乗っている本尊もなかなかのイケ仏なのです^^

こちらは快慶作品の中で私が最も好きな、醍醐寺の弥勒菩薩坐像。

快慶 醍醐寺 弥勒菩薩坐像

衣のふわっとした柔らかさがリアルに感じられる表現が見事すぎます。

醍醐寺では三宝院の本堂で祀られているのですが、特別拝観の時にしか拝むことができません。
しかも、拝めたとしても結構遠めなんですよね。

こういう博物館に出陳しているときは、近くで見ることができる貴重な機会なのです。

東大寺の僧形八幡神坐像(国宝)も博物館にお目見え。

僧形八幡神坐像

こちらは、東大寺の鎮守で、すぐ近くの若草山に向かうところにある手向山八幡宮で祀られていた神様です。

私はこの像が今、どこで祀られているのかわからなかったのですが、明治の廃仏毀釈以降は東大寺が所蔵していて、勧進所(阿弥陀堂)で祀られているようです。
そして、毎年10月5日のみ御開帳されるとのこと。
年に1回だけですので、ハードルが高いですね^^;

でも今回はそれが出陳されていたので、やっと拝むことができて感激感動でした^^

しかもこの隣には、神護寺の僧形八幡神画像が展示。
快慶はこの画像を忠実に彫刻化して、出来上がったのがこの坐像なのです。
そっくりそのままなので、参考にしたのがすぐわかります。

この二つが同時に見られたのもこの展覧会ならではですね。

そして高野山の深沙大将立像。

深沙大将立像

こちらは現在、高野山の霊宝館に収蔵されているのですが、以前霊宝館を訪れた際、楽しみにしていたにも関わらず、どこかよそへお出かけしていたんですよね^^;
なので、ポストカードだけ購入して、本物はまだ見れないままでした。

でもこちらも今回やっと本物を見ることができました^^

金剛力士と同じポーズで、スーパーサイヤ人のような髪の逆立ち。
いかにも強そうです^^

膝頭に装着されている像の顔や、胸元のドクロの飾りも印象的。

仏教の守護神なのだそうですが、忿怒の相をしたその姿はまさに明王のようですね。

同じく霊宝館からいらした、執金剛神立像。

高野山 執金剛神立像

執金剛神は、2体の金剛力士がフュージョン(合体)した神様。
金剛力士1体だけでも強いのに、合体して比べ物にならないくらい強くなったお姿なんです^^

この像は、平安時代の南都焼き討ち以降、東大寺を再興した僧・重源が、快慶に依頼して作ったもの、ということが2014年にわかりました。
それを、四天王像と一緒に高野山に安置した、というのですから、高野山にはそれがそのまま残っているんですね^^

快慶はこの像を作るとき、現在東大寺法華堂に祀られている執金剛神立像を参考にして作ったのだそうです。

法華堂の執金剛伸立像が公開されるのは、毎年12月16日。
なかなか拝観チャンスすら少なくて難しいですが、同時に見比べてみたいものです。

最後に、「快慶」と言えば阿弥陀如来の作品が多いのも特徴。

快慶 阿弥陀如来

実は、快慶は熱心な阿弥陀仏信者だったんですね。
そして、今につながる来迎形阿弥陀の典型スタイルを生み出したのも快慶なんです。

快慶は、仏像の銘記として「巧匠(アン)阿弥陀仏」という文字を使っていました。
「アン」の部分は実際には梵字となっています。

銘記というと、普通は自分の名前を書きそうなところですが、快慶は自分の名前で名乗らず、このような銘記を使っているわけです。
それほど信仰心が強かったということでしょうね。

そしてその快慶の阿弥陀スタイルが後にスタンダードになってきたことで、この銘記からとって「安阿弥様(あんあみよう)」と呼ばれるようになったそうです。

しかし同じ安阿弥様でも、一見すると同じように見える阿弥陀仏。
でも、体つき、姿勢、襟の形など、比べると違っています。

これは、快慶が常に理想の阿弥陀像を求めて、細かい部分で調整し続けた証拠なんですね。

どういう風に変えていったのか。
それは、この展覧会の公式サイトにある快慶展を100倍楽しめる 快慶仏講座・検定の動画で知ることができます。

これで勉強すれば、一見同じの阿弥陀像を見比べたりすることができるようになるかもしれません^^

展覧会は6月4日(日)まで。