熊野那智大社

熊野本宮大社熊野速玉大社と並び、熊野三山の一角を担う熊野那智大社。
日本一の大きな那智の滝で有名ですね^^

熊野那智大社は大滝を崇拝する自然信仰から始まったもので、初代天皇の神武天皇が、熊野の地に入った時に滝を見つけられ、神として祀ったのが起源とされています。
古くは山岳修行の場となっていたので、滝の近くが信仰の場だったのですが、仁徳天皇の時代に、見晴らしの良い現在の場所に社殿が移されたそうです。

社殿も瀧も山の中にあるのですが、お土産屋さん街があったり観光地化されていて、歩きやすく、映えスポットもたくさん!
なので、飽きない観光名所といえるでしょう。
私達は、昔の人が山に登って参拝した雰囲気を味わうため、那智大社の駐車場からではなく、大門坂から登ってみました。

熊野那智大社へのアクセス

熊野那智大社は、少しアクセスしにくい場所にあります。
公共交通機関で行く場合と、車で行く場合で分けて説明します。

熊野那智大社まで公共交通機関でアクセス

熊野那智大社は、JR紀勢本線「紀伊勝浦駅」です。

ここから、紀伊勝浦駅が始発になっている熊野御坊南海バス「那智山線」に乗り、約30分で終点の「那智山」のバス停に到着します。
途中、「大門坂」や「那智の滝前」のバス停にも停まります。

バスの運行間隔は、40分に1本程度。
詳しい時刻表・料金はこちらの「那智山線」をご覧ください。⇒路線バス | 熊野御坊南海バス株式会社

また、紀伊勝浦駅のきっぷ売り場では、往復券も用意されています。
通常、「那智山」のバス停まで往復1,260円ですが、往復券だと1,100円となります。

京都・大阪方面から

京都駅、新大阪駅、天王寺駅、和歌山駅などから紀伊勝浦駅までは、JR特急「くろしお」で、紀伊勝浦まで行くことができます。

名古屋方面から

名古屋駅からは、JR特急「ワイドビュー南紀」で、紀伊勝浦駅まで行くことができます。

紀伊勝浦駅・新宮駅から定期観光バスを利用する方法も

完全予約制ではありますが、熊野御坊南海バスでは定期観光バスもあります。
熊野三山を1日でめぐる「熊野三山めぐりコース」と、熊野那智大社周辺専門の「世界遺産 熊野古道大門坂と那智山めぐりコース」があります。

詳しくはこちらをご覧ください。⇒熊野御坊南海バスの定期観光バス

熊野那智大社まで車でアクセス

熊野那智大社まで車で行く場合も、高速道路からすぐではありません。
もよりの「すさみ南IC」から1時間20~30分くらいかかります。
結構遠いんですよね^^;

駐車場も有料も無料も含めていくつかありますので、行く前に把握した方が良いと思います。

大阪方面から

  1. 高速道路「阪和自動車道」「紀勢自動車道」を利用して、「すさみ南IC」で降ります。
  2. ここから国道42号でまっすぐ新宮市方面に向かって約1時間、那智勝浦町まで行きます。
  3. 「市屋」の交差点を左に曲がり、少し走って「那智勝浦新宮道路」(無料)に入ります。
  4. 次の「那智勝浦IC」で降りたら県道46号線を左へ曲がり、まっすぐ行くと、熊野那智大社の入り口、大門坂に到着します。

名古屋方面から

  1. 高速道路「東名阪道」「伊勢道」「紀勢自動車道」「熊野尾鷲道路」を利用して、「熊野大泊IC」で降ります。
  2. 国道42号線を南下し、「高森」の交差点を超えて「那智勝浦新宮道路」(無料)に入ります。
  3. 次の「那智勝浦IC」で降りたら県道46号線を左へ曲がり、まっすぐ行くと、熊野那智大社の入り口、大門坂に到着します。

熊野那智大社の駐車場について

熊野那智大社は山の中にあって、那智大社の境内から那智の滝まではちょっとだけ離れているんですよね^^;
なので、那智大社・青岸渡寺、那智の滝、門前のお土産屋さん街などを回ると、約2~3時間くらい歩くことになります。

駐車場は大きく分けて、

  1. 大門坂駐車場
  2. 那智山商店会(那智の滝入り口から、那智山観光センターまで)
  3. 青岸渡寺駐車場、那智大社駐車場

などがあります。

1.大門坂駐車場

那智山の麓にある利用料無料です。
台数も約100台ほど停められる広さがあります。
24時間利用可能で、トイレもありますので、深夜に到着して仮眠して早朝出発することもできます。

熊野那智大社までは熊野古道でもある大門坂を歩いて登ります。
約30分の道のりです。

駐車場の位置は一番遠いですが、熊野那智大社への旧参道でもある大門坂は、那智の原生林の中に敷かれた石畳の道を歩きます。
特に早朝の大門坂は、人が少ないですし、空気も澄んでいて気持ち良い時間帯です。

那智の雰囲気を味わいたい方、時間のある方にオススメです。

2.那智山商店会

那智山商店会 地図

商店会の通りは、上の図のようにいくつも駐車場があって、有料と無料の駐車場が混在します。
有料の駐車場の相場は、1回400円~500円程。

商店会の真ん中あたりにある貝岐(かいばみ)商店はお食事処なのですが、お食事をすれば駐車料金が無料になります。
しない場合は400円です。
それでも安いですね^^
熊野那智大社、青岸渡寺、那智の滝にもアクセスしやすいのもメリットです。

お土産屋の和か屋本店は第4駐車場まであり、基本的に無料で利用できます。
駐車場も全部で50台ほど停められるので、一番オススメともいえるかもしれません。

無料ですが、お土産屋さんですのでせめて帰りに何か買った方が良いですね^^
和か屋の名物はお滝もちなのですが、お店でいただくこともできますし、賞味期限が長いのでお土産としてもOK。
結構おいしいですよ^^

那智山観光センターまで行くと、駐車料金が800円になります。

3.熊野那智大社駐車場・青岸渡寺駐車場

熊野那智大社駐車場と青岸渡寺駐車場は、それぞれ防災道路を通る必要があります。
駐車場は無料ですが、防災道路の通行料が800円かかります。

ただし、熊野那智大社までの石段の昇り降りを省略することができますので、足腰が悪い方にオススメです。

那智の原始林を通る石畳の道、大門坂

大門坂

大門坂駐車場からすぐのところに、大門坂の入り口があります。
大門坂の入口には、振ケ瀬橋という橋があり、俗界と霊界の境目とされています。

振ケ瀬橋

この橋を渡ると大門坂。
橋の前にあった那智山周辺地図です。

那智山周辺地図

まずはここから30分ほど石畳を登ったところにある「那智山商店会」というお土産屋さん通りを目指します。
熊野那智大社は、那智山商店会からもう少し本参道を上ったところにあります。
那智山商店会までいけば、お店でお茶することもできますよ^^

大門坂の最初の名所は、橋からすぐのところにある夫婦杉。

大門坂 夫婦杉

原始林の入口で門番のようにそびえ立つ夫婦杉はとにかく大きいです!

大門坂 夫婦杉

ここから先も、きれいな石畳の道が続きます。
空気もキレイで、歩いていて気持ち良いです♪

大門坂 石畳

石段は267段、約600m ほど、約30分くらいで登れますし、急勾配な階段はありません。
が、坂は坂ですので、汗はかきます。
ちょっとした運動ですね^^

しばらく歩くと、熊野九十九王子の一つ、多富気王子(たふけおうじ)跡があります。

多富気王子跡

熊野詣の道には「王子社」と呼ばれる社が多数あるのですが、熊野詣をする人達は王子社につくと休憩&祈りを捧げながら熊野に向かっていました。

多富気王子もその一つで、那智大社に至るまでの最後の王子社です。
今は那智大社の第一鳥居の横に移動されていますので、ここにあるのは「跡」となっています。

多富気王子から先に進むと、上に登る道路に近づく場所にでます。

大門坂

先に行く車を見ると羨ましくも思いますが、大門坂を歩いて登ることで心の準備ができるというもの。
歩いた方が着いたときの感動は大きいです^^

ここからもう少し進むとベンチが置かれている「十一文関跡」に到着します。

大門坂 十一文関跡

特に何もないのですが、かつてはここで通行税を取っていたようです。
そしてこの場所からは初めて那智の滝を遠くに望むことができます。

大門坂 那智の滝

昔の人はここで感動したでしょうね^^
ここまで来たらもうちょっと歩いて、那智山商店会に到着です。

那智山商店会

とはいえ、大門坂を登っても、まだ本参道が残っています。
本参道は、那智大社本殿まで200段くらいの石段です。

熊野那智大社 本参道

まだまだ感がありますね^^;

一気に登ってしまうのも良いのですが、那智山商店会には喫茶店や食事処、お土産屋さんがあって、休憩することができます。

お土産屋さんの「和か屋」では、朝8時から開いていて、名物の「お滝もち」を食べながらお茶できます。

和か屋

ここで休憩してから登るのもよいですね。

大門坂から那智山商店会までは、片道30分くらいかかります。
時間がない方は、大門坂を飛ばして商店会沿いにある駐車場を利用すると良いですね。

時間と元気のある方はぜひ一度は大門坂から登ってみることをお勧めします。

熊野那智大社の神様、熊野夫須美大神のご利益

大門坂を登り、本参道も登ると、那智大社の第一鳥居が見えてきます。

熊野那智大社 第一鳥居

まだ階段がありますが、第二鳥居はすぐそこ。

熊野那智大社 第二鳥居

第二鳥居まで登るといよいよ拝殿までたどり着きます。

熊野那智大社 拝殿

大門坂から登ったこともあって、ここまで来るとやっとたどり着いたという達成感を味わえました^^

拝殿の奥には本殿が第一殿から第五殿まで横一列に並んでいるのですが、神聖な空間なので残念ながら本殿の写真は撮れません。

祀られている神様のうち、主祭神は、第四殿に祀られている熊野夫須美大神(くまのふすみおおかみ)

熊野速玉大社の記事では、神様の「熊野速玉男神」は、日本神話の「イザナギ」にあたると紹介しました。
それに対し、熊野那智大社の主祭神「熊野牟須美神」は「イザナミ」にあたります。

さらに、神仏習合に当てはめると、熊野牟須美神は千手観音だとされています。

熊野夫須美大神のご利益は縁結び
人の縁はもちろん、諸々の願いを結ぶ宮ということで、古来から結宮(むすびのみや)と崇められていたんです。

ところで、本殿は第五殿まであるということですが、熊野三山(本宮、速玉、那智)では、それぞれに本殿がたくさんあるんです。
それぞれで、熊野夫須美大神や熊野速玉男神など、お互いの神様も祀っていますし、それ以外にも合わせて12柱の神様を祀っています。
祀っている神様を「熊野十二所権現」といいます。

熊野那智大社では、さらに特別にもう1柱、滝の神様である飛瀧権現(ひろうごんげん)を第一殿の瀧宮に祀っています。

つまり、熊野十二所権現+飛瀧権現ということですね。

そういうわけで、ここでは一所多い「十三所権現」となっています。

熊野那智大社名物 ジャンボおみくじ

熊野那智大社を参拝したら、すぐにお隣の青岸渡寺にいかれる観光客は多いですが、ここの境内はそんなに広くないのに見どころ、体験どころがたくさんあります。

その中の一つがジャンボおみくじ。

熊野那智大社 おみくじ

重くはないのですが、長さが133cmもあるので、大人でも両手じゃないと持てないサイズです。

熊野那智大社 おみくじ

これは、高さ133mの那智の滝にちなんで作られているのだそうです。
内容は普通のおみくじと同じですが、ちょっとだけ引く時の面白さがありますね^^
1回100円です。

ヤタガラスのおみくじも必見

御本殿のお隣、八社殿の前には、日本の神話で神武遠征に出てくる八咫烏(やたがらす)の像があります。

熊野那智大社 八咫烏

八咫烏は神様の遣いとされていて、3本の足が特徴。
古事記では、熊野にたどり着いた神武天皇を八咫烏が案内して、大和の国に連れていったとされています。
熊野三山でも色々なところでシンボルとして使われていますね^^

熊野那智大社 八咫烏

そしてそれぞれで描き方が違いますし、境内にも色々な所に描かれています。
熊野三山に来たら、どこに八咫烏がいるか探してみるのも面白いです。

この像は、下のポストのようなものの背が高いのですが、本当に3本足なのか確かめようと思い、思いっきり背伸びして写真を撮ってみました。

熊野那智大社 八咫烏

間違いありません!八咫烏でした(≧▽≦)拝んでおきましょう。

そんなヤタガラスですが、社務所にはかわいいヤタガラスのおみくじもありますよ♪

熊野那智大社 八咫烏みくじ

那智参詣曼荼羅を拝観できる宝物殿

八社殿の隣には、宝物殿があります。

熊野那智大社 宝物殿

こちらは入館料300円が必要です。
そんなに広くありませんので、所要時間は15分~30分くらい。

まず入って目にするのは、大きな那智参詣曼荼羅!
残念ながら撮影は禁止なので写真で紹介することはできませんが、目の前で見れるのは嬉しいです^^
通常公開されているのはレプリカですが、たまに本物も公開されるようです。

その他、尊像・刀剣などもありましたが、私はやっぱり曼荼羅が好きですね♪
お滝曼荼羅や本地曼荼羅など、知らない曼荼羅もありました。
熊野は結構奥深いなあと感じる宝物殿でした。

熊野那智大社の御神木で体験する「胎内くぐり」

そして最後はご神木。

境内には大きな(クスノキ)があります。

熊野那智大社 樟

こちらは平重盛のお手植えの木で、ただのご神木ではなく樟霊社という社にして祀っているんです。

平重盛の時代からですので、まさに800年以上の老樟。
なので、長寿や無病息災を願う人が祈りを捧げるわけですね。

そしてもう1つ、実はこの木は根元が空洞になっていて、その空洞は大人が通れるほどの広さなんです。

熊野那智大社 胎内くぐり

なのでそこを通って、向こう側にいくことができます。
これが「胎内くぐり」です。

胎内くぐりをするには、まずは護摩木に願意と名前を書き、初穂料300円を納めます。
そして、護摩木を持って胎内くぐりをし、出口付近にある護摩舎に護摩木を納めます。
納めた護摩木は、毎月18日の権現講祭でお炊き上げ祈願されるそうです。

というわけで、胎内くぐりやってみました^^

熊野那智大社 胎内くぐり

入口は写真の通り、かがんで入るくらいの狭さですが、中に入ると結構広いです。

熊野那智大社 胎内くぐり

入ってすぐに階段があって、そこを登ると出口です。
階段の上から木の中を見下ろすとこんな感じ。

熊野那智大社 胎内くぐり

これだけ空洞になっているにもかかわらず、立派に生い茂っているご神木、すごいですね。
ご神木の出口からは、今まで歩いて登ってきたお土産屋さん街などが見えます。

熊野那智大社 景色

写真では見にくいですが、遠く海の方も見えるんです♪

熊野那智大社 景色

那智参詣曼陀羅を見た後にこの風景を見たら、その実写版を見ているような感じがします♪
「熊野」という地名は「隈の処」という語源からきているそうですが、そう呼ばれる意味がわかるような景色です^^

那智大社の境内はそんなに広くなく、すぐお隣は青岸渡寺。
境内は、参拝だけなら5分で終わってしまいますが、これだけ堪能すると、少なくとも1時間くらいは必要です(≧▽≦)

熊野那智大社の御朱印

熊野那智大社の御朱印です。

熊野那智大社 御朱印

オリジナルの御朱印帳も1,200円で販売されていました。

熊野那智大社 御朱印帳

そして熊野三山と言えばこれ!

熊野那智大社 牛王宝印

牛王宝印(ごおうほういん)です。
牛王符、牛王神札ともいわれている魔除けの護符です。
三山それぞれ書かれているものが違っていて、良く見ると「那智」と書かれているのが分かりますね^^

那智大社の牛王宝印は、那智の瀧の水で墨を摺っています。
そして、1枚1枚奉製されているありがたいものです。
1枚500円でした。

私が寄った、那智勝浦にある飲食店では、三山の牛王宝印を額縁に入れて飾っていたので、それをマネしてまとめて飾れるものを作ってみました。

熊野那智大社 牛王宝印

ただ、三山それぞれで宝印の紙の大きさも違うんですよね^^;
那智大社の宝印のサイズはA3?くらいのサイズでちょっと大きめです。

幸いにも余白部分が多かったので、そこを曲げて文字のところが見えるくらいの大きさで合わせて入れるようにしました。
結構満足しています^^


熊野那智大社は山の中ですから、参拝するのに結構時間がかかります。
お隣の青岸渡寺や、青岸渡寺の三重塔、大滝の麓にある熊野那智大社の摂社、飛瀧神社など見どころがたくさんあるのですが、熊野那智大社から飛瀧神社までは580mあって、歩いて15分くらいはかかると思います。

また、参道にはお土産屋さん街もありますし、ゆっくり出来るところもありますしね^^

私達は、お店で休憩することはなかったのですが、写真を撮りながらゆっくり回るスタイルで、麓の大門坂から熊野那智大社、青岸渡寺、三重塔、飛瀧神社というコースで歩いて、4時間ほどかかりました^^;
参考までに。