高野山 霊宝館

高野山は平成27年で開創1200周年を迎えます。
それに伴って、平成27年4月2日(木)~5月21日(木)の間、大法会が行われています。

壇上伽藍の絶対秘仏の御本尊初公開や、金剛峯寺の持仏本尊 弘法大師坐像の公開など、普段見られない仏像の公開がありますが、霊宝館も仏像好き、文化財好きにはたまらない、今だけしか拝観できない宝物が公開されています。

霊宝館 高野山三大秘法
イベントは2つあります。

  • 大法会限定特別公開『高野山三大秘法と快慶作孔雀明王像』
    平成27年4月2日(木)~5月21日(木)
  • 高野山開創1200年記念展『高野山の御神宝』
    平成27年3月21日(土)~7月5日(日)

ものすごいものが公開されているのに、大人1人たった600円。
これは見ておかないといけません^^

大法会限定特別公開『高野山三大秘法と快慶作孔雀明王像』

大法会が開催されている、4月2日(木)~5月21日(木)の間の特別展示です。
こちらは高野山を代表する名宝が一堂に会する、注目のイベント。

こういうものが出展されています。

まずは高野山三大秘宝。

  • 諸尊仏龕(しょそんぶつがん):国宝
  • 聾瞽指帰(ろうこしいき):国宝
  • 飛行三鈷杵(ひぎょうさんこしょ):重文

そして運慶・快慶作の美仏たち。

  • 孔雀明王像:重文・快慶作
  • 八大童子像:国宝・運慶作

です。
有名どころが勢ぞろいしていますね^^

これらの写真は霊宝館の特別公開のご案内を見ていただくとして、秘宝の説明をします。

諸尊仏龕は、空海が師匠である第七祖 恵果阿闍梨から授かったもので、真言密教の祖師から祖師に相伝されてきたもの。
つまり密教の正統な継承者の証です。

高さ23.1cmの携帯できる厨子で、白檀の香木を3分割し、ちょうつがいでつなぐことで観音開きができるようになっています。
中には釈迦如来を中心とした27尊もの仏様が巧みに彫りだされています。

小さいのにものすごく細かいです!

これは、空海の枕本尊ともいわれていて、肌身離さず持ち歩いて礼拝していたそうです。

聾瞽指帰は、24歳の若かりし空海が入唐前に書いた自筆本です。

空海は、讃岐の国の名門である佐伯氏に生まれ、ゆくゆくは国の官僚の立場になる予定でしたが、大学を中退して仏道に入ることを決断します。
聾瞽指帰は、仏道に入ることに理解しようとしない親戚たちに弁明するために書いたものなんです。
仏道に入るにあたっての所信表明のようなものですね。

内容は物語になっていて、当時日本で主流だった教え、儒教・道教・仏教のそれぞれを代表する人物が登場、それぞれが論を展開させて最終的には仏教が優れている、という風に3つの思想を対比させながら仏教の優劣性を解くように話が展開していきます。
これは日本初の小説ともいわれています。

実際に見てみても現代人が読めるものではないので文面から内容は読み取れないですが、空海は青年時代から文才があったと言われています。

飛行三鈷杵は、空海が唐から日本に帰国する際、密教の道場としてふさわしい場所を指し示すように願い、唐から日本に向かって投げた、という密教法具です。

投げた三鈷杵は、高野山の壇上伽藍にある「三鈷の松」に引っかかっていたそうです。
高野山開創伝説に出てくる三鈷杵なんですね。

この飛行三鈷杵、普段は霊宝館に厳重に保管されていてなかなか見ることができません。

ちょっと前に、東京のサントリー美術館やあべのハルカス美術館で行われていた高野山の名宝展でも、諸尊仏龕や聾瞽指帰、快慶作の孔雀明王像、運慶作の八大童子像が来ている中、飛行三鈷杵だけは来なかったんですよね^^;

それだけ貴重なものが間近で拝観できますので、これは見てパワーを感じ取らない理由はありません^^

孔雀明王像は、壇上伽藍孔雀堂の元本尊で、快慶作の端正で美しい仏像です。
こちらは高野山の名宝展で購入したポストカードで紹介します^^

バランスの良い仏像で、孔雀の羽根もリアルによく作りこまれています。
上から下まで美しいですね^^

そして、八人の戦隊もののような八大童子像。

壇上伽藍の不動堂に安置されているのですが、不動堂の内部は通常非公開。
あべのハルカス美術館の「高野山の名宝」展に行った時は、八大童子像が一番の人気で、この前はたくさんの人だかりができていたのですが、霊宝館では人が少なくゆっくり見ることができました。

ディスプレイの仕方はあべのハルカス美術館の方が上なのですが、まじまじと近くで見れるのは霊宝館の魅力ですね。

大法会中限定の特別展の代表的なものを挙げてみましたが、他にも、快慶作の四天王像や執金剛神像などもありましたよ^^

特別展の詳細はこちら⇒霊宝館公式サイト | 高野山三大秘宝と快慶作孔雀明王像 特別公開のご案内

初公開!高野山の御神宝

こちらは、平成27年3月21日(土)~7月5日(日)の間行われている記念展です。

高野山の壇上伽藍御社(みやしろ)といって、高野山開創に関わりのある神様、丹生明神と狩場明神を祀る社があります。
平成16年に、この御社の保存修理を行ったのですが、その時に発見された御神宝がこの記念展で公開されています。

高野山の名宝展で出会った、私お気に入りの狩場明神と丹生明神の掛け軸もありました^^

私が今回注目したのは懸仏(かけぼとけ)

円板に仏像をつけて、お寺の堂内の柱や壁に懸けて礼拝するものです。

たまに博物館で見かけるのですが、錆びていたり、仏像が作り始められた時代のような簡素すぎるものだったり、魅力がわかりにくいもが多かったんです。

それが今回は大きくて立派なものばかり!

梵字がしっかり刻み込まれた梵字懸仏、バランスのとれた大日如来の仏像がついた大日如来懸仏、円板にとらわれない、光背型の板になっている地蔵菩薩懸仏など、完璧な形のものがバリエーション豊富にありました。

特に意味を知ると面白かったのは、梵字の懸仏。
上の狩場明神、丹生明神像のそれぞれの上部にある、月のような丸の中には梵字が書かれていますが、それがそのまま懸仏になっているのです。

狩場明神の上にある梵字の読み方は「バン」、丹生明神の上にある梵字の読み方は「アーク」なのですが、「バン」は金剛界の大日如来、「アーク」は胎蔵界の大日如来を示す梵字でもあるのです。

つまり、狩場明神を金剛界の大日如来、丹生明神を胎蔵界の大日如来に見立てた、神仏習合の思想が反映されているわけですね。

このような立派な懸仏を使って、御社が荘厳されていた様子を想像すると、いかにこの両明神が大切にされていたかがわかります^^

記念展の詳細はこちら⇒霊宝館公式サイト | 初公開!高野山の御神宝

御朱印

霊宝館には御朱印があります。
文化財を保存・展示する施設に御朱印があるのは珍しいですね。

高野山霊宝館 御朱印

「紫雲殿」と書かれています。
霊宝館の本館のことですね。


上で紹介したのはあくまで代表的なものだけです。
霊宝館は国宝21件、重要文化財143件などを含む指定文化財約28,000点のほか、全部で5万点以上文化財も所有しているすごいところですから、来るたびに違った催し物が行われています。
高野山に訪れるときはチェック必須ですね^^

博物館などに行くといつもゆっくり見る私は、今回霊宝館を拝観するのに1時間半かかりました。

高野山は広くて1日じゃ回れないほどなので、どこに時間をかけて、どこを削るか考えたり、時間配分するか難しいところなのですが、大法会中の霊宝館は特別中の特別。
この期間だけは20時まで開館時間を延長しています。

お寺は17時には閉まるので、昼間は参拝に集中して、お寺が閉まりだしてから行くのも手だと思います。

私もこの方法で色々回った後でもゆっくり見ることができました^^