空海の母公が滞在した高野山麓の女人高野 慈尊院

慈尊院

高野山の麓に「九度山」という地があります。
空海はここに、政所(まんどころ)という、高野山一山の庶務を司る寺務所を置いたのですが、それが慈尊院です。

門をくぐると、綺麗な多宝塔がお出迎え^^

慈尊院 境内

空海はここに伽藍を建立することで、寺務所としてでなく、高野山参詣者の宿泊や避寒修行の場としても使うようにしました。
なのでここは高野山を参詣するための登山口、つまり高野山の表玄関として昔から栄えてきたのです。

また慈尊院は、弘法大師の母公、玉依御前(たまよりごぜん)が滞在したお寺としても知られています。

平成27年は高野山開創1200年を記念する年で、大法会がある4月2日~5月21日の期間に合わせて、国宝の秘仏御本尊、弥勒菩薩が御開帳されています!
この期間に合わせて参拝してきました^^

世界遺産にも登録された参詣道、高野山町石道のスタート地点

空海は、山麓となるこの場所を高野山参詣のための宿泊所としたわけですが、更にそれだけでなく、高野山への道しるべとして参詣道に木製の道標(卒塔婆)を作りました。
その参詣道のスタート地点となるのがこの慈尊院です。

慈尊院から大門を通り、壇上伽藍まで続く約23kmの道のりに、一町(約109m)おきに全部で百八十基建てられました。
後の鎌倉時代に、風化を防ぐために木製卒塔婆から石造卒塔婆に建て替えられ、現在もそれが使われています。

一町おきに建てられたことから、これらの石造卒塔婆は町石(ちょういし)と呼ばれ、23kmの道のりは、高野山町石道(ちょういしみち)と呼ばれています。

町石道は、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部としても登録されている信仰の道なんです。

高野山へ登る道は「高野七口」といって、全部で七つの登山口がありますが、慈尊院から大門につながる大門口が最も歴史のある道になっています。

下の写真は、慈尊院にある一番目の町石、「百八十町石」です。
隣接している丹生官省符神社へ登る階段の横に町石道があるのですが、町石をよく見ると「百八十町」と刻まれています。

慈尊院 町石

ここから進むごとに数字が、百七十九、百七十八・・・と減っていって、壇上伽藍の根本大塔横の町石が「一町石」となります。
下は高野山上の根本大塔の横の町石です。

根本大塔 町石

この、「一町」という単位、現在の基準であるメートルに換算したら中途半端ですよね^^;
どういう単位なのか?というと、これは建てられた町石の数、「百八十」という数字に関係があります。

密教の胎蔵界曼荼羅に描かれている百八十尊の仏様にあてているんです。

なのでそれぞれの町石には諸尊を表す梵字が刻まれていて、参詣者は一町ごとに合掌しながら登山したんです。
それが「信仰の道」といわれる所以ですね^^

参詣者は高野山へ登ると、大門をくぐって壇上伽藍に向かうわけですが、壇上伽藍の参拝が終わったら、今度は弘法大師の眠る奥の院へ向かいます。
実は壇上伽藍から奥の院までも、別の町石道があります。

スタート地点は、上で紹介した根本大塔横にある一町石。
今度は奥の院へ進むにつれて数字が上がり、三十六町まであります。
三十六町の町石は、今度は金剛界三十七尊の仏様にあてています。

最後の三十七番目が空海の御廟となるわけです。

高野山の案内犬 ゴン

高野山の案内犬 ゴン

拝堂の裏側に、「ゴンの碑」というものがあります。
寺務所にも、「高野山の案内犬 ゴン」という本が売られていました。

この本、児童書ですが結構泣けますよ^^

ゴンは、ふらっと慈尊院に現れた野良犬で、平成14年まで実際にいた犬です。
この本は実際に案内してもらった人やご住職などにインタビューをして、事実に基づいた出来事が書かれています。
亡くなった後も人々に慕われている犬なんです。

ゴンは誰に教わったのでもなく、参詣者を慈尊院から高野山の大門まで、町石道を通って案内してくれたそうです。
その距離、約20km。

人の足だと、7~8時間はかかります。

その間、参詣者が途中で休めばそれに合わせて休みますし、疲れていれば吠えて励ましてくれます。
でも、おにぎりやパンをあげても、食べようとないんですね。

ただただ、ひたすら案内に徹するわけです。

そして、大門まで案内すると慈尊院に帰っていくのです。

不思議な犬ですね^^

実は弘法大師 空海もかつて、高野山を開創するときに2匹の犬に連れられてきています。

この絵は壇上伽藍の記事でも紹介しましたが、高野山開創に関わる、狩場明神との出会いのシーンです。
この、狩場明神の連れている犬に案内してもらっています。

ゴンは、もしかしたらこの犬の生まれ変わりなのかもしれませんね^^

そんなゴンですが、残念ながら平成14年6月5日に亡くなってしまいました。
そしてこの日は、奇しくも空海の母親である玉依御前の命日なのです。

次に紹介しますが、慈尊院は玉依御前ゆかりのお寺でもあります。
何か縁がありそうな気がしますね^^

空海の母親、玉依御前が滞在したお寺

慈尊院 拝堂

慈尊院は、空海の母親である玉依御前が晩年滞在していたお寺です。

ある時、玉依御前は、

「わが子の開いた山を一目見たい」

と、高齢にも関わらず、香川県の善通寺から慈尊院のある高野山の麓まで訪ねてきました。

しかし、当時の高野山は女人禁制。
母親といえど登っていただくわけにはいかないので、慈尊院に滞在してもらったのです。

空海は母親の滞在中、一か月に9度も通ったので、このあたりは「九度山」という地名になったのだそうです^^

しかし、訪ねてきてから次の年、玉依御前は八十三歳でこの世を去ります。

母親の没後、空海は滞在していたこの慈尊院に廟を造り、弥勒堂を建てました。
母親は、弥勒菩薩を篤く崇拝していたのです。

その建てたお堂が、現在本堂となっている弥勒堂です。

実は、「慈尊院」という寺名もこのエピソードから来ています。
弥勒菩薩の別名が「慈尊」なんですね。

その後、玉依御前は弥勒菩薩に化身されたという信仰が広がります。
当時、高野山は女人禁制で女性は入れませんでしたが、慈尊院までは来れる、ということで、慈尊院は女性のための高野山「女人高野」といわれています。

秘仏、弥勒菩薩の御開帳

弥勒堂には平安初期に作られた国宝の弥勒菩薩坐像がいらっしゃいます。
こちらは普段は秘仏なので拝観できませんが、21年に1度の屋根替や、特別慶事の時のみ御開帳されます。

なかなかお目にかかれる機会の少ない御本尊ですが、平成27年の高野山開創1200周年を記念した御開帳の機会に訪れることができました。

御開帳期間には、上の写真のように拝堂と弥勒堂の間のスペースに寺務所が開設されていました。
拝観料は500円です。

この先は撮影禁止となっています。

弥勒堂には入れず、拝堂と弥勒堂の間のスペースから拝むようになっています。
お堂の外からなのでちょっと遠目です^^;
お堂の中は暗く、しかもガラス越しなので、空が晴れすぎていると反射で見えにくいかもしれません><

私が訪れた時はちょうど空が曇りぎみでしたし、単眼鏡を持っていたのでなんとか見ることができました。

また、「両手を丸めてメガネのような形をしてみると見えやすくなる」ということを受付の人に教わったので、やってみると確かにこの方法でも見えやすくなります^^

撮影は禁止なのでパンフレットで紹介します。

慈尊院 弥勒菩薩

像容は、どこか異国情緒のあるお顔立ちで、堂々とした落ち着きのある雰囲気。
連弁には綺麗な模様が描かれていますが、本物は残念ながら隠れて見えませんでした^^;

御本尊の前には42~44cmほどの小さな四天王像が立っているのですが、堂内が暗い上に像が黒い上に、ガラスで反射してほとんど見えませんでした><
一見、いるのが気付かないくらい見えにくいです^^;

御開帳としてはちょっと残念ですね^^;

屋根の葺き替えの時の御開帳は、手前の拝堂に御本尊を移してからの拝観となるようで、そちらの御開帳の方が見やすいかもしれません。

弥勒堂の前には、乳房型(ちちがた)というユニークな絵馬がたくさん奉納されていました。

慈尊院 乳房型

子授け、安産、育児、授乳などを願って奉納されているのだそうです。
乳がん予防のお守りなども販売されていますので、胸の悩みを抱える方は御利益がありそうですね。

御朱印

慈尊院の御朱印です。

慈尊院 御朱印

その他、仏塔古寺霊場第6番札所の御朱印もあります。


慈尊院の駐車場は、門の前に観光バス用と自家用車3台分があります。

すぐに埋まってしまうのですが、私が訪れた時は交通案内の人がいて、国道4号線を東に少し行ったところにある、30台くらい止めれそうな駐車場に案内されました。
もしかしたら御開帳期間中だけ借りているのかもしれませんが、無料でした^^

和歌山 神々トリップ

女人高野 別格本山 慈尊院のアクセス情報

正式名称 女人高野 別格本山 慈尊院
TEL 0736-54-2214
住所 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
開門時間 8:00~17:00(御開帳は16:30まで)
電車・バス 高野線 九度山駅下車 徒歩約25分
駐車場 3台(無料)
拝観料 無料(御開帳期間のみ500円。境内無料)
公式サイト なし

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