補陀洛渡海の出発点 補陀洛山寺

補陀洛山寺 本堂

海に近い那智駅から徒歩5分ほどのところにある補陀洛山寺(ふだらくさんじ)
境内が世界遺産となっているこのお寺は、平安時代のはじめから江戸中期にかけて行われていた補陀落渡海 発祥の地として知られています。

補陀洛山寺 石碑

観光客は少ないのですが、ここも熊野信仰に大きく関わるお寺で、熊野那智大社の造営・修造のため、布教活動を行ったお寺(那智七本願)の1つでした。

「補陀落渡海」というのは、仏教においてはるか南の海の彼方にあるとされる観音菩薩の浄土補陀落浄土を目指して船出する捨身行のことです。

現実的に考えると、観音様に身をささげるための自殺ですよね><

今では考えられない行為ですが、当時は究極の苦行とされていて、その功徳として補陀落浄土で永遠の生命を得られると考えられていたんですね。
そしてそれだけでなく、多くの人々の苦しみを代わって背負い、自らの身を犠牲にすることによって人々を救う、代受苦(だいじゅく)の実践でもあったんです。

なぜこの場所が補陀落渡海の聖地となったのか?というと、那智という場所が補陀落浄土の東門として見立てられていたからなんです。
それで海に近いこの場所から補陀落渡海に出たんでしょうね。

境内には、補陀落船を復元したものがあります。

補陀洛船

これは、那智参詣曼陀羅に描かれていたものから再現したものです。

入母屋造の屋形があって、渡海僧は30日分の食料と燈油を持ってこの中に入り、外から釘が打たれます。
扉がないので、入ったらもう出られません。

その四方には四つの鳥居があります。
これは、これは「発心門」「修行門」「菩提門」「涅槃門」の四門を表しています。

  • 発心:発菩提心といい、悟りを得よう思い立つこと。
  • 修行:悟りを目指して心身浄化の行をすること。
  • 菩提:煩悩を断ち切って悟りの境地に達すること。
  • 涅槃:智慧が完成し、安楽の境地に達すること。

となります。
ちなみに、四国のお遍路さんにもこの意味がありますね^^
徳島県が発心の道場、高知が修行の道場、愛媛が菩提の道場、香川が涅槃の道場となっています。

補陀洛渡海の話に戻すと、この渡海船を見送る者たちは天蓋や幡などをかざして見送ります。
葬列と同じです。

そして、「南無阿弥陀仏」と書かれた帆を掲げ、二隻の曳き船に曳かれて海に連れていかれ、途中で綱を切って海に送ったわけです。
その後は風にまかせるまま、漂流していきます。
なんだか切ないですね^^;

境内には、補陀洛渡海した僧の名前が刻まれた記念碑が建っていました。

補陀洛渡海 記念碑

この中にはいやいや補陀洛渡海させられた僧もいたようです。

鎌倉時代までは、望む者が補陀洛渡海していたのですが、室町時代以降は儀式となってしまい、補陀洛山寺の住職が60歳くらいになったら渡海する、ということになっていたのだそうです。

そのような不幸な話が残っているのが「金光坊」という僧の話です。

金光坊は戦国時代の補陀洛山寺の住職で、補陀洛渡海しなければならない年齢になったことから、渡海の日に船に乗り込んだものの、死ぬのが怖くなり、海に連れ出された後に脱出します。

しかし、同行人に見つかってしまい、船に戻されて無理やり沈められてしまったのです。

このような事件があったわけですが、この事件がきっかけとなって生きたまま渡海する、ということはなくなり、その代わりに補陀洛山寺の住職が亡くなった後、その亡骸を渡海させるようになったそうです。

那智山参拝前に身を清める場所、浜の宮王子

補陀洛山寺のすぐ隣には、熊野三所権現を祀る熊野三所大神社があります。
お寺と神社が隣り合わせている、というのはとても珍しいのですが、これこそが神仏習合の形態が今に残っているということを示しています。

熊野三所大神社

熊野三所大神社

ここでは熊野三所権現を祀っているのですが、この神社は元々、熊野の九十九王子の一つ、浜の宮王子でした。
京都から熊野に至るまでには「○○王子社」という社がたくさんあって、それらを総称して「九十九王子」と言います。

王子社は熊野大神の御子神様を祀っているとされていて、京都から熊野に向かう道中にあるのですが、時代によって増加しています。
昔、熊野詣というと遠いところから一歩一歩長い道のりに険しい山を越えて三山に参拝していたわけですが、休憩ポイントに王子社をおくことで、参拝者を熊野へ向かわせるために元気づけるシステムとなって働いていたようです。

熊野までの険しい道を歩いていて、挫折しそうになるころに王子社にたどり着くので、熊野大神に一歩一歩近づいていることを実感するわけですね^^
そうして元気を取り戻してまた向かうことができます。

浜の宮王子もその一つで、ここでは那智山参拝前に潮垢離(海水で身をきれいにすること)をして身心を清めていました。

補陀洛山寺は、そんな浜の宮王子の隣に設けられた神宮寺(神仏習合に基づき、神社に付属して建てられたお寺のこと)だったんです。

だから補陀洛山寺は那智大社と深い関係を築き、熊野三山の一部となっているんでしょうね^^

御朱印

補陀洛山寺の御朱印です。

補陀洛山寺 御朱印

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補陀洛山寺のアクセス情報

正式名称 補陀洛山寺
住所 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字浜ノ宮348
開門時間 8:00~16:30
電車・バス JR那智駅下車、徒歩3分
駐車場 無料
拝観料 無料

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