滋賀県湖南市にある常楽寺は、和銅年間(708~715)に元明天皇の勅命で建立されたお寺です。
開山は、東大寺を開山した良弁僧正。

湖南市には、奈良時代に建立された天台寺院で国宝に指定された建築物のあるお寺が、三ヶ寺あります。
常楽寺はそのうちの一つで、残りの善水寺、長寿寺と合わせて「湖南三山」と称されています。

良弁はこのあたりの阿星山に五千坊もの寺院を開いたのですが、この中心寺院として常楽寺を置きました。
そして紫香楽宮の鬼門封じのお寺として栄えたそうです。

お寺については詳しい資料に乏しいのですが、今では国宝建築のあるお寺として、また紅葉の名所として知られています。

普段は参拝するのに予約が必要なのですが、紅葉の時期は予約不要で拝観することができます。
私はその時期に合わせて行ってみました。

国宝建築に紅葉が映える美しい境内

常楽寺 境内図

拝観入口にあった境内図です。
建物は国宝の本堂と同じく国宝の三重塔があり、この二つがメイン。
そしてその周りを西国三十三所の石仏を置く散策路となっています。

本堂内を拝観して散策路を回ると、拝観の所要時間は20分~40分位です。
ちょっとした丘のような山を上るくらいで、そんなに広い境内ではありません。

そして拝観入口からいきなり本堂と紅葉がお出迎え。

常楽寺 本堂

本堂の横に三重塔が見え、その周りを紅葉が囲む、すべてそろった風景です^^
本堂前の紅葉はきれいに色づいていました。

常楽寺 紅葉

違う角度から。

常楽寺 紅葉

重文の石灯籠。

常楽寺 石灯籠

三重塔まわりもキレイです。

常楽寺 三重塔

石仏巡りの道を歩きながら、周りから見ることもできます。

常楽寺 三重塔

常楽寺 三重塔

常楽寺 三重塔

私が訪れたのが平日の10時頃だったためか、あまり人がいなかったのでゆっくり堪能することができました^^
国宝建築の重厚さと紅葉のコラボは格別です♪

遊歩道の上からは麓の集落も見えます。

常楽寺 集落

のどかな景色ですね^^

室町時代に建てられた和様の本堂

常楽寺 本堂

現在の本堂は南北朝時代の延文五年(1360年)に落雷火災にあい、同年に再建されたものです。
創建の奈良時代当時のものではありませんが、正面七間、側面六間、入母屋造、桧皮葺、落ち着いた感じのする堂々たる建物です。

常楽寺 本堂

本堂は内部拝観することができ、外陣から内陣へ、そして内陣裏に回るように進みます。

内陣には秘仏の御本尊、千手観音菩薩像が厨子の中に固く閉じられ、その左右を二十八部衆と風神・雷神が囲んでいました。
堂内は色々法具が置かれていて狭いのですが、須弥壇の前を歩くことができるので、間近でみることができます。

どれも表情や動きが豊かで、見応えがあるのですが、残念ながら風神と魔喉羅迦王(まごらかおう)が、昭和56年の無住職時代に盗難にあって、未だに戻ってきていないのだそうです。
その時、阿修羅王も盗難にあっていたのですが、昭和60年に見つかって帰ってきたのだそうです。
残り二つも帰ってくることを願いたいものです。

内陣の裏には、平安時代に造られた重文の釈迦如来などを見ることができます。
他にも、他の諸堂からセキュリティの関係上、本堂に置かれるようになった仏像がありました。

常楽寺には境内に小さな薬師堂や行者堂などがあるのですが、残念ながらそちらも盗難にあっています。
そういうこともあってか、本堂内をはじめ、拝観入り口には注意書きがたくさん書かれていました。

本堂内での撮影禁止は珍しくないのですが、なんと、双眼鏡や単眼鏡を使って拝観することも禁止です!
他にも堂内の逆行禁止、リュックは背負わず前にして持つことなど、とにかくたくさんの注意書きが見られます。
そして、モニターも設置されていて、録画している旨のメッセージを何度も見せられました。

盗難にあってナーバスになっているのか、マナーの悪い観光客が多いのかはわかりませんが、あまりにも注意書きが多いと、何もやましいことはしていなくても不快に感じてしまいますし、ゲンナリしてしまいました^^;
その辺がちょっと残念ですね。

高台に建つ国宝の三重塔

常楽寺 三重塔

本堂の裏の高台に建つのが室町時代の応永七年(1400年)に再建された三重塔です。
やはり塔はどこのお寺にあってもシンボルになるというか、自然とマッチしやすくて見応えがありますね^^

高さは22.8mで、近江の三重塔としては最大規模になるようです。
しかし、三重塔から続く石仏巡りの遊歩道を歩けば、途中で三重塔より高いところまで上ることができて、そこから塔の上の層を見ることができます。

常楽寺 三重塔

上の紅葉の写真でも紹介しましたが、ここの三重塔は色々なアングルから鑑賞することができます。
どこを切り取っても絵になります^^

内部は非公開ですが釈迦如来坐像が安置されていて、壁には釈迦説法図が描かれているのだそうです。

常楽寺の御朱印

常楽寺の御朱印です。

常楽寺 御朱印


常楽寺は住職さんが一人で境内を管理していて、なおかつ他のお寺も兼任しているので、普段の拝観は予約が必要です。
事前予約なしで拝観できるのは紅葉の時期のみですので、拝観に行かれる方はご注意ください。