長寿寺

滋賀県湖南市にある湖南三山の一つ、長寿寺は奈良時代からある天台宗の名刹です。
創建は聖武天皇の天平年中(729~748)、東大寺を開山した良弁僧正によって建立されました。

当時世継ぎがいなかった聖武天皇は、良弁に祈願を頼んだところ、良弁は阿星山中に籠って祈願、間もなく皇女が生まれました。
そこで天皇は当時遷都していた信楽宮の鬼門にあたるこの場所に七堂伽藍と二十四の僧坊を建立し、皇女生誕にちなむ子安地蔵尊を行基菩薩に造らせて祀らせ、皇女の長寿を願って「長寿寺」と名付けたそうです。

中世には源頼朝や足利氏の祈願所にもなりましたが、後の織田信長によって主要な建物は焼かれてしまったそうです。

そんなこともあってか、長寿寺の境内はそんなに広くはありません。
でも、紅葉の時期はたくさんの観光客で賑わいます。

私も紅葉の時期に訪れてみました。

本堂まで続く紅葉のトンネル

長寿寺 山門

長寿寺の入り口はこじんまりとした山門。
普段は境内自由なのですが、紅葉の時期はここから拝観料が必要です。

門をくぐって参道にでると、上も下もイチョウの葉で真っ黄っ黄♪

長寿寺 紅葉

グラデーションがきれいになっているところもありました。

長寿寺 紅葉

見上げると真っ赤になっている木もあります。

長寿寺 紅葉

参道は短いので満喫できるほど紅葉が多いわけではないのですが、きれいですね^^

参道には、「長寿」にちなんでか、ふくろうの置物がたくさん置かれていました。

長寿寺 ふくろう

長寿寺 ふくろう

長寿寺 ふくろう

長寿寺のパワースポット!子宝祈願の石

長寿寺 子宝祈願の石

参道の途中には、「子宝祈願の石」というものを安置しているお堂があります。

由緒はわからないのですが、子宝御石が厨子の中に置かれているんですね。

長寿寺 子宝祈願の石

そしてそのお守りなどが前に置かれ、お礼参りに来た人の手紙も入っていました。

これから子供を考えている方、子宝に恵まれなくて悩んでいる方は、こちらにお参りすると御利益が得られるかもしれません^^

秘仏の本尊 子安地蔵尊を祀る 国宝の本堂

長寿寺 本堂

長寿寺の本堂は檜皮葺がきれいな建物で、国宝に指定されています。

桁行(正面)五間、屋根一重、寄棟造、向背三間、四面回廊。
向背は中央で三間分も大きくとっていて、そのためにどっしりと見えますね。

長寿寺 本堂

天台宗のお堂は入母屋造が多いのですが、こちらは寄棟造。
そして天台宗では回廊を後ろに回さないのが一般的ですが、こちらはぐるっと回ることができます。

創建は奈良時代ですから、古式を留めているのでしょうね。

内部は内陣、外陣、そして回廊を回って後陣に分かれていました。

拝観は外陣からになるのですが、御本尊の子安地蔵尊は固く春日厨子(国宝)に閉ざされて秘仏となっています。
厨子の中には観世音菩薩と毘沙門天が脇士として置かれているそうです。

厨子の両脇には釈迦如来坐像と阿弥陀如来坐像が安置され、いずれも藤原時代の重要文化財とのこと。
こちらは見ることができます。

子安地蔵尊ですが、50年に1度御開帳される秘仏でして、なんと2012年に御開帳されたばかり。
次に御開帳されるときに元気に訪れることができるかどうか、わかりません^^;

しかも2012年の御開帳は57年ぶりといいますから、必ずしも50年で御開帳されるわけではなさそうですね。

御開帳されたときに写された写真があったのですが、そのお顔を見るとまるでパンダのような垂れ目が特徴的なお地蔵さんでした^^

本殿の隣に並ぶ鎮守社の白山神社

長寿寺 白山神社

参道の途中に、左側に白山神社の鳥居があります。
道が二手に分かれるので、どちらに進むか迷いそうになりますが、鳥居がない方に進むと長寿寺の本堂、鳥居の方に進むと白山(はくさん)神社に行きます。

長寿寺の本堂よりも一段高い位置にあって、長寿寺の鎮守神を祀っていて、今は長寿寺とは独立した神社らしいです。
昔は神仏習合の影響で一つの寺社として管理されていたのでしょうね。
白山神社の拝殿は重要文化財となっています。

長寿寺 白山神社

室町時代後期の作で、形式は桁行三間、梁間三間、檜皮葺、そしてこちらは入母屋造です。
格子戸ですっぽり覆われているところが珍しいですね。

かつては内部に三十六歌仙の板絵が掛かっていたそうですが、今は外されていました。

拝殿横からは、三重塔があったという跡地に行くことができます。

長寿寺 三重塔跡

長寿寺 三重塔跡

今では礎石が残るのみなのですが、近江地方では主要な天台系の伽藍には必ず三重塔が配置されていたといいますから、長寿寺はそれだけ重要視されていたお寺だったということですね。

今では見る姿もない三重塔ですが、実は織田信長によって場所を移されたようです。
それが、安土城山の中腹にある摠見寺(そうけんじ)の三重塔(重文)です。

長寿寺の御朱印

長寿寺の御朱印です。

長寿寺 御朱印


長寿寺は、湖南三山の一つに挙げられていますが、以外にもこじんまりとしたお寺でした。
紅葉の時期だけかもしれませんが、すぐ隣にある小さな運動場が駐車場になっていて、無料で停めることができます。
台数にも余裕がありますので、秋の湖南三山巡りの際は安心して車で行くことができます。